5月例会『大いなる幻影』の感想
2019年06月07日 公開
北九州映画サークルでは例会鑑賞後、会員(当日観に来られた一般の方も含む)からの評価・感想を毎回募集しています。
①大変よかった
②よかった
③ふつう
④あまりよくなかった
⑤その他
の評価とともに、「ひとくち感想」と題して、映画を観た方々が思いに思いに綴った感想を一部ご紹介いたします。
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① ぐいと盃を干すシュトロハイム。死を覚悟して笛を吹くフレネー。幼い少女を通して農婦への愛を伝えるギャバン。名場面の数々と美しい構図を堪能。フランス流のユーモアとエスプリに祖国への誇りと愛が匂う。庶民から貴族まで全ての階級の人々(国の違いを越えて)に対する敬意を情愛に満ちた大いなる人間賛歌。世界平和が「大いなる幻影」と益々感じられる昨今、各々の立場で精一杯人間らしく生きた彼らは希望だ。名作上映に感謝!
① 近年欧州では自国第一主義が台頭し、2度の悲惨な大戦を経て誕生したEUさえも、英国の離脱に揺れているが、本作の描く国家や民族を超えた人間同士の友愛は、いつの時代にも宝石のような普遍の価値を持つ。第二次大戦直前、映画によって何とか戦争を止めようとしたのであろうルノワール監督の強い思いがひしひしと伝わり、胸を締め付けられた。底なしの戦争の狂気を繰り返さないためにも、観続けられるべき人類の知性の遺産である。
① 近年の戦争映画と比べると少々物足りなさも感じるが、気品のある反戦映画である。「家の中に男の足音がする幸せ…。」幼子と二人暮らしの戦争未亡人がつぶやく。戦時下の孤独と不安を見事に表現していた名シーン。
①ジャン・ルノワールの大いなる人間愛と平和への願いがつまった映画でした。1937年、ナチズムの台頭の最中に作られたことを考えると、“戦争が終わることは幻影”であり、クリスマスシーンが象徴する“幸せな家庭も幻影”とならざるを得ない時代。それでも、だからこそ、第一次世界大戦で従軍したジャン・ルノワールはこの映画を撮ったのでしょう。ワンシーン、ワンカットすべてが素晴らしい。昔観たとは思っていたけど、鮮烈に記憶が甦ってきたので確認すると1980年の11月例会でした!
③ 捕虜という立場であっても人権を感じる描き方が逆に新鮮でした。自分ではなかなか観ようとは思わないクラシック映画ですが、様々な年代の方と例会で観る機会があるのは感謝です。もう少し良さが分かるようになれたらいいなとは思います。